2013/9/14から府中市美術館で開催されている、「ウィリアム・モリス 美しい暮らし ―ステンドグラス・壁紙・テキスタイル」開会式に参加してきました。
「いちご泥棒(Strawberry Thief)」とは庭になった苺をツグミが狙いにきた様子をモチーフとしたもの。モリスのデザインで最も人気のあった一つです。
今回の展示ではこのいちご泥棒の他、沢山のデザインが壁紙やテキスタイルとして堪能できます。
小一時間の開会式では井出館長や音学芸員からのウィリアム・モリスの解説がありました。
当時の宗教改革運動の中で、聖職者を目指し、オックスフォード大学を受験した際に生涯の友人となるエドワード・バーン=ジョーンズ(彼のステンドグラスの作品もフィルムで展示してあります)と席が隣同士だったこと。その後、運動に失望し、共に芸術を目指したこと等、時代背景と共に、モリスの人となりをとても分かりやすくお聞かせ頂きました。
展示室を抜けると府中市美術館の十八番とも言える体験コーナーが。今回は”手乗りいちご泥棒”とモリスのデザインのインド版木スタンプ。
子どもたちがわいわいと楽しそうに触れていました。
思想家であり、詩人であり、デザイナーであり、工芸家であり・・・と様々なことに携わったモリスの活動の集大成は「美しい暮らし」でした。近代化で忘れ去られた素朴な日々の生活・労働を慈しむことの出来る生活を目指していたということです。
例えば、理想の”青”を手に入れるため、モリスは安価で粗悪な化学染料が主流だった当時に、利益追求の粗悪な大量生産品を批判し、複雑な工程を要する天然のインディゴ染めを物凄い試行錯誤の末に理想の”青”を手に入れたそうです。
美しいデザインだけでなく、それを具現化するまでに徹底的に妥協を許さない姿勢は素晴らしいですね。
「役に立たないもの、美しいと思わないものを、家に置いてはならない」と、なかなか過激(?)な言葉を残したモリス。
皆さんも府中市美術館で生活の中の美を堪能して、自分の生活に取り入れてみては如何でしょうか?
下記の日程で井出館長、音学芸員による解説講座も行われます。
作家や作品の背景が分かると更に楽しさ倍増です!
10月6日(日曜日)
「ウィリアム・モリスと19世紀英国絵画」
井出洋一郎(当館館長)
11月3日(日曜日)
「ウィリアム・モリス 美しい暮らし」
音ゆみ子(当館学芸員)
いずれも午後2時
会場:講座室
費用:無料
詳細は府中市美術館のHPから
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/morris/index.html