綱領で思う

民主党が綱領を改訂するとして、現在党内で議論が行われています。
党の綱領とは、その政党が何のために在り、この国をどうしていきたいのかを定め、知らしめるものであり、政権交代が行われた今こそ、この議論をしっかりとすることが必要です。

さて、もう今から20年近く前、旧民主党が作られた時の「基本理念」という文書がありました。

『私たちがいまここに結集を呼びかけるのは、従来の意味における「党」ではない。』という宣言から始まるその文書はジャーナリストの高野孟さんが旧民主党の設立の“たたき台”として書いたものです。

「強制と保護の“上”からの民主主義」が役割を終えて、自律的、主体的な市民(シトワイアン)による「自立と共生の“下”からの民主主義」を創るために、多極分散・水平協働型の「市民中心社会」の設立を目指したもの。
2010年(当時から15年後)にはこの国が『「地方分権・地域主権国家」が実現し、そのもとで、市民参加・地域共助型の充実した福祉と、将来にツケを回さない財政・医療・年金制度を両立させていく、新しい展望が開かれているだろう。』という目標に向けて、プロセスを展開して行く明快で、希望に満ち溢れた文章です。

注目すべきは、私たち市民一人ひとりが区別されることなく、“一主権者”であり、その私たち一人ひとりの才能とエネルギーを大切にすること、この国のために結集することを訴えかけていることです。

『私たちは、一人ひとりの人間は限りなく多様な個性をもった、かけがえのない存在であり、だからこそ自らの運命を自ら決定する権利をもち、またその選択の結果に責任を負う義務があるという「個の自立」の原理と同時に、そのようなお互いの自立性と異質性をお互いに尊重しあったうえで、なおかつ共感しあい一致点を求めて協働するという「他との共生」の原理を重視したい。そのような自立と共生の原理は、日本社会の中での人間と人間の関係だけでなく、日本と世界の関係、人間と自然の関係にも同じように貫かれなくてはならない。』

中途半端な「市民参加」ではなく、真の意味での市民が主体となる社会を謳っています。
自由と秩序の両立への答えとしての「友愛(今では聞こえが悪くなってしまいましたが…)」その先にある理想の「共生社会」の実現。

そして、締めくくりでこの様に訴えかけます。
『この「党」は市民の党である。いまから21世紀の最初の10年間をつうじて、この「100年目の大転換」を担おうとする覚悟をもつすべての個人のみなさんが、「私はこれをやりたい」という「一人一政策」を添えて、この結集に加わって下さるよう呼びかける。』

こんなにも市民に直接問いかける、真の“市民の党”を目指したものがありました。
何よりも、取ってつけたような言葉を弄するのではなく、これだけ熱く語りかける言葉でこそ、理念を、そして、この国の未来を語りたいと思いました。
私たちに必要なことは現実を受け止め、自分たちの言葉で一人ひとりに語ることです。
誰のための政治か、もう一度原点に返るべきだと思います。
これを胸に、これからも活動をして行こうと決意をしました。

改めてこの文章を読み、ご本人から了承を得たので、紹介させて頂きました。
尚、全文はこちらのサイトでご覧頂けます。是非ご一読を。
http://www.smn.co.jp/takano/who.text5.html

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